大判例

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広島家庭裁判所呉支部 事件番号不詳 決定

少年 D(昭和一九・一・四生)

主文

本件を広島県立呉児童相談所長に送致する。

理由

本件少年は一四歳以上の触法少年として、検察官から家庭裁判所に送致されたのであるが、調査の結果現に一三歳四月余の少年であることが明になつたものである。

この場合家庭裁判所に於ていかに事件を処理すべきかについて疑問がある。少年法第三条第二項によれば一四歳に満たない触法少年は都道府県知事又は児童相談所長から送致された場合の外は家庭裁判所の審判に付することができない旨を規定しているので、この意味からすれば家庭裁判所は事件が家庭裁判所の管轄に属しないものとして不受理の決定をすべきもののように考えられる。しかし少年法第三条第二項の規定は一四歳未満の触法少年についてはまず児童福祉法の措置に委ぬべきか否かを同法の機関によつて決定させようとするに外ならないのである。従つて同項にいわゆる審判に付することができないというのは、実質的意義を有する審判即ち保護処分に付するか否かの審判を指称し、事件を児童福祉機関に送致する形式的裁判をまで否定しているものとは考えられない。一方少年法第一八条は一四歳を超える触法少年等の場合にあつても家庭裁判所は、調査の結果児童福祉法上の措置をすることが相当であると認めるときは事件を権限を有する都道府県知事又は児童相談所長に送致することができる旨を規定している。少年法第三条第二項の規定の精神が前敍のように一四歳未満の非行少年はまず児童福祉法上の機関によつてその措置を決定させ、一四歳を超える場合も家庭裁判所の認定により児童福祉法上の機関をしてその措置を決定させるにあるとすれば、本件のように一四歳未満の少年を一四歳以上と誤まつて家庭裁判所に送致されたものを家庭裁判所が不受理の決定により終了すればこの事件が新に児童福祉事務所又は児童相談所に通告されない限り、保護の圈外に脱出し両法律の精神に副わないことになる。家庭裁判所の裁判官も家庭裁判所調査官も法制上通告義務をもつていないし、これ等の者は児童福祉法第二五条の要措置児童の発見者とは謂い得ないから通告すること自体が適当でないかも知れない。このような解釈上の結果になることは、相当であるとは考えられないのであるから、寧ろ本件のような場合は少年法第一八条第一項に準じて家庭裁判所は事件を児童相談所の権限に属するものとしてこれに送致するの決定をなし、送致を受けた児童相談所は、送致された事件を少年法第一八条第一項に準じて措置するのが法の精神に適合するものと考えるので主文の通り決定する。

(裁判官 太田英雄)

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